【看点】男性恐怖症のOLが、もう一つの人格と交換日記を通じて交流し、奇妙な関係を築いていく姿が見もの。 『交錯する二重人格』 小さな出版社の編集部で地味なOLとして働く葉子は、人とのコミュニケーションを苦手とし、男性恐怖症でもある。しかし、最近彼女の体調が異変を起こしている。十分な睡眠を取っているにもかかわらず、勤務中に強烈な眠気に襲われたり、日常的に倦怠感に襲われるようになってしまった。 このような状態で仕事に励む葉子だが、ミスが連発し、編集長には毎日叱責される日々を送っている。そんなある日、葉子はいきなり見知らぬ男性から声をかけられる。「君のことをもう一度抱きたい」「忘れられないんだ」と男性に迫られ、恐怖に駆られてその場から逃げ出してしまう。 やがて葉子は、自分が眠った真夜中に別の人格が現れ、男性たちと一夜限りの関係を楽しんでいることを知る。その人格の名前はヨーコであり、葉子の日常は彼女によって侵食され始めていた。 葉子は、ヨーコとの交流を図るために交換日記を始めることを思いつく。そこでは、葉子とヨーコの二人が一つの身体を共有することにより、お互いの思いや願望を伝え合う場となる。 こうして葉子とヨーコ、一人二役の奇妙な共存関係が始まり、彼女たちは自分自身と向き合いながら、人間関係や自己のアイデンティティについて考えるようになる。 『交錯する二重人格』は、人間の内面に潜む葛藤や欲望、そして命の尊さを描いたサスペンスドラマ。葉子とヨーコの複雑な心理描写や、彼女たちが抱える課題を通じて、観客は自己のあり方や他者との関わりについて深く考えさせられるだろう。間違いなく、本作は見応え十分の一作となるに違いない。