【看点：愛と欺瞞の入り交じるサスペンスストーリー】 『江坂の秘密』 江坂は仲間二人と小さな出版社を経営している。ある夜、江坂は目黒川に身を投げようとしている女性を見かけ、助け出した。彼女は滝村秋子と名乗り、夫の暴力に耐えかねて家を出たと話す。この出会いがきっかけで、江坂と秋子の奇妙な関係が始まる。 二人はすっかり夫婦のような生活を送り始め、行きつけの飲み屋でも常に一緒にいる姿が見られた。やがて秋子は、夫である豊に離婚を迫る。驚く豊は、かつて看護婦の三代江と関係を持ち、その後秋子に離婚を迫ったことがあったことを思い出す。しかし、秋子は嫉妬深く、離婚を受け入れようとせず、むしろ豊との関係を修復しようとする。 そんな中、行きつけの店の客である桑野という男性が自宅の風呂場で殺される事件が起こる。事件の前に、桑野の元に秋子から電話があったという情報があり、事件現場には滝村の名刺が落ちていた。そのことから、江坂は秋子が桑野を殺したのではないかという疑いを抱く。 江坂は新聞記者である義兄の青柳に相談し、さらに秋子本人にも話を聞くことにする。しかし、二人から聞かされる秋子の姿は、彼女自身が江坂に話した内容とは全く異なっていた。江坂は秋子が嘘をついていたことに気付き、彼女が桑野を殺した可能性が高いと考える。 そして、翌日、休日出勤している江坂のもとに秋子が訪れる。江坂に執拗に問い詰められる秋子は、滝村のことを嘘をついていたことを認める。しかし、桑野殺害に関しては全く関与していないと訴える秋子に、江坂は深く追及していく。その時、江坂の机の電話が鳴り響く。青柳からの電話で、殺人事件の犯人が逮捕され、それは滝村の内妻である三代江であるという報せだった。 江坂は秋子が三代江の罠にはまったことを知り、彼女を助け出すために動き出す。屋上に駆け上がると、手すりから飛び込もうとする秋子の姿が見えた。 『江坂の秘密』は、愛と欺瞞が入り交じるサスペンスストーリーでありながら、人間の真実の姿や家庭内の葛藤を描き出しています。主人公である江坂が秋子の真実を追い求める姿勢や、事件の解決に向けた行動力が観客を引き込みます。一方で、秋子の心理や三代江の策略など、登場人物の背後に隠された思惑や秘密が見どころの一つです。緊迫感とドラマ性を持ち合わせた『江坂の秘密』は、鑑賞者に緊張感と驚きを与えるでしょう。